伊豆丹那断層巡検レポート

巡検日:2007/2/18

学校行事において伊豆方面への巡検が企画されたので、これに参加してきました。
その時に見てきた事等々含めて、丹那断層について知ってもらおうと思います。

1.about断層・丹那断層

 これがその丹那断層がある公園。この立派な見た目の看板から よほど規模の大きな公園を想像する人もいるかと思いますが、その規模は 郊外住宅2〜3軒分と言う程度でした。しかしながら、地学的にとても重要な役割を持っている 公園です。国の天然記念物にも指定されており、函南町の重要な観光地となっています。

まず始めに皆さんは「丹那」を何と読むのか分かりますか?素直に読めば終わりですが
「たんな」と読みます。これは静岡県函南町、伊豆半島の付け根部分に当たり、近くには
有名な温泉地 熱海 があります。
 そして、「断層」と言う物に関しても説明する必要があるでしょう。
 日本は世界有数の「地震大国」である事は言うまでも無いですね。この地震が起きるメカニズム
と言う物がいくつか存在しています。ここでは、その紹介は省略します。そのメカニズムの1つに
挙げられるのが、この「断層」が起きる事なのです。断層とは、地盤が動いてしまう事で、地盤が
動く際に境目となる部分で地盤同士がこすれ、そのこすれが揺れとなる、というのが簡単な仕組み
です。そして、ずれてしまった後がこうして保存されているのが、丹那断層なのです。
阪神淡路大震災を引き起こしたのもこうした断層なのですが、今発生が危惧されている東海地震や
南海地震などの巨大地震は、これとは違った仕組みの地震です。
 この丹那断層は、断層が多い日本の中でもずれた様子がはっきりと分かる数少ない地点の1つであり、
後世に残すべく整備されています。下の解説文に載っている通り、この断層は1930年(昭和5年)に
起きたもので、目の前にあった物が左の方にずれてしまう「左横ずれ断層」というものを引き起こし、
この時には平均で約2mほど左に移動してしまったそうです。よくよく調べると、この断層は700〜1000年
に1度、この規模の断層を引き起こしているそうで、この次は早くても2630年までは起きない「という
事になっている」のです。もちろんこれはあくまで統計なので正確な事などは言いようが無いのです。その他、
詳しいことは公園の休憩所に設置してあったパネルに記載してあるので見て頂ければ、より詳しいことが分かります。


2.公園内紹介

それでは、丹那断層公園の中について写真を交えながら(と言うか写真中心に)、紹介していきます。

こちらがその解説文です。この他にも4〜5枚の解説パネルが設置されており、 当時の状況などを見て取る事が出来ます。しかし、逆を言うとこのパネル以外には、係員の人などは 全くいないので、行った時にあっけに取られず、こうしたパネルを見て断層に関しての知識を深めて下さい。

この建物は、先ほどのパネルが設置されていた休憩所です。裏手にトイレがあり、 建物の隅には申し訳なさそうに断層のパンフレットが山積みにされています。見て分かるとおり、とても 小さい建物です。大人数で行く時は注意が必要です。

こちらは、断層が発生した地下の様子がどうなっているのかを調べる為に「トレンチ」 と呼ばれる物を作って研究したものを、保存する為に屋根や囲いをつけた「断層地下観察室」です。この付近は 元々畑であったため、地盤等が貧弱だったそうです。その為、雨にさらされたり、風が吹いたりすると、「風化」 と言う現象が起きて、地層の表面がボロボロになってしまうのです。通常の断層があまり残らない一因と言える でしょう。ここは、そうした断層跡を後世にも残していく為に、トレンチを行った後すぐにこうした囲いをつけて 地面を保護したのです。

←これが、観察室の中で見る事ができる断層跡です。画面中央にはっきりと境目が あるのが分かると思いますが、ここが断層を引き起こした部分で、あの境目にある平面を「断層面」と呼ぶのです。 あの場で見ると、規模の小ささ等で感激が薄かったのですが、このように写真にする事でより断層の境目を見る 事が出来たように私は思っています。この断層は写真に収めて、もう一度家でゆっくり見た方が良い、というのが 私の個人的な意見です。

これは、公園内にある庭園ですが、この庭園内にも断層が走っているのです。 ここの庭園では、断層があるところに分かりやすく赤い矢印のような目印が配置してあります。(写真右)そして、 真ん中に石が並べられているのが分かるでしょうか?これは昔は庭園の「道」だったそうですが、断層によって ずらされてしまったそうです。その為、ずれてしまった部分をつなぐ断層方向への不自然な石の並びがあります。 ちょうど落ち葉で茶色くなったところが道なのです。普通はこのような道の作り方はしないだろう、と言う事が 生々しさを表す半面、私としては作為的に石を並べてそれっぽく見せているようにも感じるのですが、あくまで気のせい だと思います…。

←左の写真はこの公園に設置されている、丹那断層付近の地形を模したジオラマです。 このジオラマは、この断層公園がある「丹那盆地」や、この断層の爪痕が残っている「火雷(からい)神社」が含まれる 田代盆地などが含まれています。この日は雨が降った直後なので、ジオラマのへこみ部分に雨水がたまっていたのですが、 ポジティブに考えればへこんだ部分がよく分かる、と言う感じです。また、このジオラマ内には、東海道本線の 「丹那トンネル」や、東海道新幹線の「新丹那トンネル」の位置もしっかり表示してあります。これに関しては、次の項で 説明等をしたいと思います。

今回は火雷神社に関しては行かずに終わったのですが、ここは函南町の天然記念物に指定されており、丹那断層公園
よりもずれた様子が分かりやすい箇所です。ここは、神社の鳥居と階段の間に断層が生じてしまったかなり奇跡的な地点で
断層が生じてしまった後の現在は、鳥居を入った先に階段が無いと言う状況になっています。ここは、丹那断層公園に
比べると、少し行きづらいところにあるので、お出かけの際は気をつけて下さい。



これで、丹那断層については一通り見れました。最後に、丹那断層のパンフレットを載せておきます。見づらい
と思うので、詳しく見たいと言う人は是非断層公園へ出向いて、パンフレットをもらって下さい。
表紙と裏表紙です。

中身です。中身はこれ以外にもう1面あるのですが、それは自分で見て下さい。


丹那断層について、写真を中心に紹介していきましたたが、もっと丹那断層について知りたいと言う人は、是非
ホームページで調べてみて下さい。もっと色々なことが分かると思います。その一例として、丹那断層を管理している
函南町のホームページ を見てみるのも良いと思います。丹那断層の話題は、「東海道新幹線との関連」に続きます。下記の右矢印をクリックしてご覧下さい。

なお、このページの内容は、「丹那断層に関するパンフレット」と、早稲田大学高等学院地学科、加藤 徹先生のお話を
参考にさせて頂き、作成いたしました。


地学館トップへ  丹那断層の続きへ          

inserted by FC2 system