3.丹那トンネル、新丹那トンネルって何?

さて、ここからは鉄道と関連するお話です。1.1.で軽く触れましたが、丹那トンネルとは、東海道本線の
熱海〜函南間に通っている鉄道トンネルです。新丹那トンネルは、東海道新幹線の熱海〜三島間を通っているトンネルで、
「丹那」と名前が付いているぐらいなので、なんと両者とも丹那断層を横切ったトンネルなのです。つまり
活断層を突っ切っているなんとも凄いトンネルと言う事になります。

こちらが、その丹那トンネルを突っ走っている東海道線の113系です。熱海〜函南の間は、 JRが東日本⇔東海と変わる地点でもあるため、多少電車が少ないと言う欠点がありますが、それでも現在1時間に 3本の電車が確保されているため、地方路線としては十分すぎる本数と言えます。また、このトンネルの熱海側の入り口に 東海と東日本の境界があるので、丹那トンネルはJR東海が所有している事になります。

そして、先ほどの丹那盆地付近のジオラマにも、このトンネルの位置はしっかりと書かれてありました。

これはジオラマに近づいてみた写真です。写真中央を上下に走っている 点線が分かるだろうか?これが丹那トンネル、そして新丹那トンネルの位置を表しています。左側が丹那トンネルです。 そして、画面中央を左右に走っている赤線が丹那断層の断層線で、その線上にある矢印が、断層がずれた方向です。

上の写真を見てもらえば一目瞭然ですが、トンネルが思いっきり断層に突っ込んだ形になっています。丹那断層が動いた
1930年当時、東京〜大阪間は鉄道が開通していたはずで、恐らくこの地域にも鉄道は走っていたはずなのです。
それでは、この当時にトンネルが動いてしまった事で大きな事故が発生してしまったのでしょうか?

その答えは、実はNoなのです。それは、ただ単に断層がずれた時間にトンネル内に電車がいなかった、と言う事では なくて、その当時、箱根の山をトンネルで結べるほどの技術はまだ無かったのです。この難所を越えるルートとして、箱根の山をよけた 松田・御殿場方面を経由する鉄道が敷かれたのです。それが今の「御殿場線」に当たる路線なのです。実はその当時の東海道線は、 現在の御殿場線を通って沼津まで行っていたのです。そして、断層が生じたころ、この山を越える為にトンネルが建設されており、 この建設中にずれてしまった、と言うことなのです。この地域のトンネルでは、地下水がしみ出てくるなどの難工事地点であり、 この断層が生じた事も、少なからず建設に影響を与えています。もしトンネル内で2mずれたとすると、線路の幅は東海道線では 1067mm(1.07m)なので、そのずれは、下り線と上り線が一致してしまうほどにもなります。そのため、この付近ではトンネルが 微妙に蛇行しているそうです。そんな難工事も乗り越えて完成したのが、JR東海の丹那トンネルなのです。かなりすごいんです。

しかし、そこにトンネルを作ったらまた断層が…。そうなんです。起きるときには起きてしまうのですよ。ですが、
この断層が次にずれるのは周期から考えると西暦2630年。ぶっちゃけそんな先の事は考えていられない、と言う気持ちが
あったのでしょう。なので、あのトンネルはあと650年もしたら、断層を恐れるあまり、使えなくなってしまうかも…。
もしそうなった場合には、…御殿場線でしょうね。今でも新宿〜沼津を御殿場線・小田急線経由で走る特急「あさぎり」号
が1日4往復走っているため、東京〜大阪が完全に分断される、と言う事はまず無いように思います。そうした思惑から、
今でも御殿場線は元気なのかもしれません。(そうでなくとも富士山他の山登り客への需要は大きくあるようです。)
もし、断層がずれてしまうのがどうしても怖い、と言う人は、御殿場線に乗りましょう。余計に時間がかかってしまいますが。
どちらにせよ、少なくともあと500年は安全だと思います。私たちが心配する必要はないようです。

4.まとめ

こんな感じで、丹那断層についてまとめてみました。いかがでしょうか?これ以外にも、伊豆半島付近は地学的には
面白い場所となっています。興味を持った方は是非静岡県函南町に出向いてみてください。これから、こうした事柄を
まとめて行くに当たり誰でもわかりやすい内容、を目指してまとめていきたいと考えています。もし、見て下さった
方の中で、改善点等を指摘して頂けるならとても嬉しいです。是非ともご意見、ご感想をお寄せ下さい。よろしくお願いします。


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